公開日:2020.02.06
FAQQ1.マンション管理はどの法律を使うの?
まずは「建物の区分所有等に関する法律(通称:区分所有法)」です。通常、1つの建物はその全部を1人が所有するものですが、マンションの場合は、1つの建物を区分して各部分を別の者が所有する(区分所有)という特殊な所有関係になります。そこで、そういった特殊な所有関係の調整、区分所有者同士の調整、区分所有者と外部の者との調整等を図るために制定されたのが区分所有法です。マンションの法律関係において最も基本的な法律ですので、マンションの法律関係については、まずは区分所有法を確認するべきです。
もっとも、区分所有法はマンションの法律関係全てを規定しているわけではなく、他の法律も必要になります。まず、マンションの購入の場面では私法の大原則である民法の売買の規定や宅地建物取引業法などを確認すべきです。次に、マンションの1室を賃貸する場合には民法の賃貸借の規定や借地借家法が中心になります。マンションの建替えの場面では、「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律(通称:マンション建て替え法)」によることになり、マンションが地震などで全壊した場合の再建の場面では「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」によることになります。
また、マンション管理は、本来区分所有者の構成するマンション管理組合により行われるのですが、一般のマンション所有者は管理のノウハウもなく、それほど関心もないため、多くのマンションにおいて適正な管理が行われておりませんでした。また、マンション管理には、区分所有者、賃借人、マンション管理組合、マンション管理会社、マンション管理士、管理業務主任者など様々な人物が登場し、その役回りや責任を明確にしておく必要がありました。そこで、これらの点を規定すべく、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(通称:マンション管理適正化法)」が制定されました。
この他にも、マンションの建物自体の安全性の問題は「建築基準法」、マンション建設時の立地の問題は「都市計画法」、新築マンションの品質や瑕疵の問題は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、マンション購入契約の解除の場面では「消費者契約法」など、挙げればどんどん出てきます。
さらに、マンションには通常、管理規約があり区分所有法の規定をそのマンションに適合する形に修正していますし、マンション管理組合とマンション管理会社の間では管理委託契約が交わされており、それぞれの権利義務は同契約により規定されてます。
このように、マンション管理について規定する(直接規定していなくても必要となる)法律は相当数あるので、これを調べれば大丈夫というのはありません。上記の分類にしたがい、必要となる法律を正しく選び取ることが重要です。また、当然ながら正しく選んだ法律の規定を正しく理解することも重要です(建築基準法などはごちゃごちゃした条文が多く、正しく読むだけで相当大変なのです)。
タグ: マンション・アパート紛争