公開日:2020.02.07
FAQQ5.芸能プロダクションの法的紛争リスクについて
最近、芸能プロダクションとタレントのマネジメント契約をめぐり、賃金が不当に低い、望まない芸能活動をさせられるなど色々と問題が起きていますが、当プロダクションも契約内容を見直した方が良いでしょうか?
A.回答
おそらくほとんどの芸能プロダクションでは、タレントとのマネジメント契約は、雇用契約ではなく業務委託契約などの形をとっており、雇っているのではなく1人の個人事業者として扱っているのではないかと考えられます(そうでなければ散々働かせて月給数万円というのでは最低賃金を下回り違法となってしまいます)。
しかし、このように業務委託契約の形態をとっている場合でも、働き方の実態が一般的な労働者と変わらない場合には、雇用契約をしていなくてもそのタレントは「労働者」として扱われます(実際に平成28年に厚生労働省労働基準局が同旨の文書を各種芸能関係の団体に送付していますし、裁判例でも雇用契約類似の契約と認定されたものもあります。)。
そうすると、仕事を選べない若手の芸人、モデル、アイドルなどは、事務所の指揮命令に従って仕事をしていますので、多くのケースで「労働者」と判断される可能性があるのではないでしょうか。仕事を選べないタレントは選べるタレントよりも圧倒的に多い訳ですから、結果として多くのプロダクションで労使トラブル、法的紛争が多発するリスクがあるということです。
質問されたプロダクションでは、タレントとの間の指揮命令関係がどうなっているか定かではありませんが、芸能界は人気商売ですから、タレントとの法的紛争はプロダクションにとって即、致命傷になる可能性もあります。そうなってしまう前に、今のうちにタレント(マネージャーらスタッフも)の働かせ方や待遇を見直し、
労務管理の体制を整え、紛争リスクを抑えましょう。
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