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コラム

2020.05.12コラム

家族信託制度が有用となるケースについて①


ここ最近、家族信託に関するご相談をいただく機会が増えております。
家族信託という言葉はここ10年くらいで聞くようになってきていると思いますが、実際にどのようなものかよく分からないという方も多いと思いますので具体例を挙げて紹介していきたいと思います。

1.認知症対策として用いるケース

ケース
80代の母親と長女の2人家族(父親は他界、他に兄弟はなし)で、長女は結婚して家を出ているため母親が自宅で1人暮らしをしています。 母親は今はまだ自宅で生活できていますが、将来体の自由が利かなくなってきたら、自宅を売って施設に入りたいと考えています。長女も、母親の考えに賛成しています。

考えらえるリスク

このケースでは、母親が施設に入りたいと思った時に認知能力があれば自ら自宅を売却することができますが、体の自由が利かなくなる前に認知能力を失ってしまった場合には、法律上自身の力では自宅を売却することができなくなってしまいます。
このような場合には、成年後見制度を利用し、成年後見人により自宅を売却することも考えられます。 しかし、成年後見人は財産が多額の場合や親族間に争いがある場合には親族(このケースでは長女)が就任できず、裁判所が選任した法専門家(弁護士、司法書士等)が選任されます。そうなると、選任された後見人の判断により、必ずしも自宅が売却されるとは限らないですし、自宅の売却につき裁判所の許可(居住用不動産の処分については民法により裁判所の許可が必要とされています。)が下りない可能性もあります。自宅が売却できなければ、施設に入居する費用を捻出できない可能性もあります。これでは母親と長女の希望は反映されません。
また、法専門家の後見人が選任された場合には、母親の財産から後見人報酬を支払わなければならない(後見人報酬は、財産が多い場合や自宅不動産の処分など業務が多い場合には高額になることがあります。)ため、母親の財産も目減りしてしまい、その分将来の長女の相続財産も減少してしまいます。

家族信託を利用した場合のメリット
母親の認知能力に問題がないうちに、長女との間で家族信託(不動産(及びその他の金融資産等)管理処分信託)契約を締結しておけば、自宅不動産を信託という形で長女に所有権を移転させることができます。その結果、長女は自宅の処分権限を持つことになるため、母親が認知症になってしまった場合でも、成年後見人を就けずに自宅を売却することができます。
これにより、母親、長女の意思に反し自宅を処分できないという事態を防止できるので、母親も長女も安心して日々の生活を送ることができるのです。この事例はもっとも分かりやすい家族信託制度が用いられるケースですので、まずはこのようなケースをイメージしていただければと思います。