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コラム

2020.11.05コラム

相続法改正 預金の遺産分割前の払戻②


預金の遺産分割前の払戻を受けた相続人に特別受益があり、具体的相続分を超える預金を受け取った場合、どのようになるでしょうか。

被相続人Z
相続人 配偶者 X1 法定相続分1/2
相続人 子 X2   法定相続分1/4
相続人 子 Y    法定相続分1/4

遺産 Z名義の預金 A銀行 1200万円の普通預金

ここで、前回のおさらいです。
遺産分割前の払戻の上限は、
配偶者
A銀行普通預金1200万円×1/3×1/2=200万円
しかし、上限は150万円


A銀行普通預金1200万円×1/3×1/4=100万円が上限

そして、YのみがA銀行から100万円の払戻を受けます。
X1、X2は払戻しを受けていません。


X1の法定相続分は、
1200万円×1/2=600万円

X2、Yの法定相続分は
1200万円×1/2×1/2=300万円

このケースで、実は、YがZから600万円を生前贈与されていたとします(全額特別受益に該当するものとします)。
この600万円はZの相続財産に組み入れて遺産分割することになります。

そうすると、各相続人の具体的相続分は、

X1の具体的相続分
(1200万円+600万円)×1/2=900万円

X2、Yの具体的相続分
(1200万円+600万円)× 1/2×1/2=450万円

Yは、Zから既に600万円の生前贈与を受けているので、Yの具体的相続分は0円です。
なお、450万円-600万円=-150万円とマイナスになりますが、特別受益の場合には、差額分を返還する必要はなく、単に遺産分割の際にもらえる金額が0円となります。

次に、Yは、遺産分割で取得可能な財産が0円であるにもかかわらず、A銀行から100万円の払戻を受けています。
この場合、X1、X2は、Yに対して100万円の精算を求めることができるか、というのが今回の問題です。


結論としては、X1、X2はYに対し、遺産分割の際に100万円の返還を請求できます。
Yは、特別受益として受け取っている分(上記150万円)を返還する必要はありませんが、本来遺産分割で取得できないにもかかわらず、遺産分割前の払戻制度で100万円の払戻を受けており、100万円の返還が否定されると、相続人間で不公平が生じるので、当然の結論ですよね。

次回は、遺留分について記載したいと思います。