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臨時休校、オンライン授業と授業料の返還について

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公開日:2020.04.23

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臨時休校、オンライン授業と授業料の返還について


緊急事態宣言を受けて現在国内のほとんどの学校が臨時休校やオンライン授業となっていますが、授業料等の返金を求める動きが各所で広がっていると聞きます。 そこで、私立の専門学校のケースを想定して、授業料返金の義務について整理を試みてみます(但し、あくまで法律や判例等が十分に固まっていない中での整理になりますのでご注意下さい)。

まず、授業の開始時期が遅れたとしても補習や夏休み期間を利用して全カリキュラムを消化できた場合や、テレビ会議等を使ってオンラインで授業を提供できた場合には、原則として学校側には授業料の返金義務はないと考えられます。体育や芸術系の学校の場合にはオンライン授業で代替できるのかという問題はありますが、一般的な教室で講義を受けるタイプの授業であればオンライン授業だからといって必ずしも質が下がる訳ではありませんので、直ちに授業料の返金、減額に繋がるものではないと考えられます。そこで、学校としてはまずどのような形であれ、カリキュラムを消化し切ることを最優先に考えるべきです。
問題はコロナが収束せず、緊急事態宣言が延長されてカリキュラムを消化できない場合です。多くの学校では要綱などで一度納められた授業料は返金しないという定めを置いていると思いますが、いくら不可抗力とはいえ授業を提供できていないにもかかわらず納めた授業料を返金しないというのは不当です。法律的にも消費者契約法の適用がありますので、そのような要綱の定めは無効であると判断されてしまう可能性が高く(実際に多くの裁判例で要綱の定めが無効であると判断されています。)、学校側の採るべき対応ではありません。そのような対応をとって悪評が立ってしまうと次年度以降の入学者減にも繋がってしまいます。とはいえ、学校は学校でいつ授業が再開できるようになっても良いように講師やスタッフを確保し、授業をするための教室・校舎を維持しなければならず、それは授業料によって賄われていますので全額返金としてしまうと学校の財源が持ちません。また、生徒達は授業を受けられなくとも、その学校の学生であるという身分を享受できているという意味では何の対価も得られていないという訳ではありません。
そこで、学校の財源を維持しつつ、生徒達の不利益を可能な限り回避するため、学校としてはカリキュラムが消化できない可能性が高まった時点で速やかにその旨を生徒に伝え、消化できない部分に対応する授業料のみ返金するとしたり(その場合の単位取得に関しても検討が必要)、在学期間や卒業時期に拘っていない生徒の場合は1年遅れてのカリキュラム消化や入学自体を翌年にずらすなど、できる範囲で柔軟な対応をとることが求められているのではないかと考えられます。

この問題は緊急事態宣言がいつまで続くかにより状況は大きく変わってきますし、政府見解等にも左右されそうですので、状況が変わりましたら再度整理してみたいと思います。