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Q4.割増賃金の適用除外に当たる管理監督者について(2)

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公開日:2020.02.22

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Q4.割増賃金の適用除外に当たる管理監督者について(2)


札幌市内に,服飾雑貨店を数店舗経営している者です。勤務形態は,週ごとの変形労働時間制を採用しています。当社の従業員は,無期契約の社員,契約社員,パート社員がそれぞれ数名ずつおり,無期契約の社員を各店舗に「店長」として配置しています。 最近,契約社員のAさんから,「昨日は9時間働いたので,今日は1時間早く上がらせてください。」と言われ,私が了承しました。これを見ていた店長B(無期契約)が,別の日に,「Aさんと同じように,私も長く働いた日が出た時は,翌日短時間勤務したいんですが,それも難しいので,その分残業代をもらえるんですかね?」と聞いてきました。 私としては,その店長は管理職扱いとしているので,「あなたは店長で管理職だし,割増賃金の規定は当てはまらないから,そういうことは出来ないよ。」と回答しました。こうした取り扱いで,正しいのでしょうか。
A.回答

この店長Bさんが,労働基準法上の「管理監督者」といえるかどうかを慎重に判断すべきと考えます。

裁判例では,管理監督者に当たるといえるためには,①職務内容,権限及び責任に照らし,労務管理を含め,企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか,②その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か,③給与及び一時金において,管理監督者にふさわしい待遇がされているか否かなどの諸点から判断すべき,とされています。

今回のBさんについては,従業員の新規採用時の面接に関与していたり,店舗営業の統括業務を行っていたり,社長と一緒に月次の収支などを振り返る会議に参加していたり・・・といった状況があれば,①の面では管理監督者に当たるといいやすい事実といえます。

他方,②の面で,店長Bさんが他の契約社員やパート社員と同様に,毎日店舗の営業時間に合わせて出勤・退勤し,基本的に店舗での業務のみに従事しているとなれば,それは労働時間等に対する規制になじまないものとはいえず,管理監督者に当たらない方向に働く事情といえます。

③については,待遇面の問題であり,他の従業員との間である程度の差が設けられていて,労働時間規制の適用を除外してもなお,管理監督業務に従事するにふさわしい待遇がなされている状況かどうかを,個別具体的に判断することになります。

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