はじめての方へ(代表 中村あいさつ)
人のお役に立てる仕事。私は、これほど「やり甲斐」のある仕事は無いと思っています。
そして、弁護士業務というのは、人のお役に立てる仕事の典型だと思っており、どんなに忙しく、どんなに辛いときでも、私を頼ってくれる皆様のお顔を見て、この「やり甲斐」を感じ、いつも元気をもらっています。
学生時代まで、多くの人に本当にたくさんの迷惑を掛けて来た自分だからこそ、そんな自分が人の役に立てるということが、特にうれしく感じるのかもしれません。以前の自分にとって、今の自分の姿などとても想像し得なかったからです。
私の両親は、大学にも行っておらず、学もありません。鼠の這い蹲るボロアパートで、父はすかいらーくの皿洗いと新聞配達のアルバイトとで必死に働き、生まれたばかりの私を育ててくれました。その後、父は、水道工事業等を経て保険代理店を自営し、時には学がないことで冷たい視線を浴びながらも、私たちにひもじい想いだけはさせたくないとの責任感の下、必死に働いてくれました。私は、学や地位、こういったもので色眼鏡を付けて見る人が大嫌いです。父や友達、ひいては自分を否定されていることに他ならないからです。
友達関係も、学や地位などない、その代わりにいつも本音でぶつかってくれる、男気と優しさある連中と、自然と広がっていきました。私の行動原理・考え方のバックボーンがここにあります。
父からは、「男なら、何をやっても絶対に負けるな」、「男は孤独だ」「責任しかないんだ」と、殴られ、引きずり回されながら(笑)、負けん気と男の責任感をひたすら教えられたものです。
弁護士になってからも、父からは、「お前、お客様から電話を頂いたら、一旦電話を切ってから掛け直すようにしているか?」などと、説教され続けていました(笑)。でも、いつもぐさりと心に突き刺さる言葉でした。
そんな父が癌に倒れたとき、保険代理店のお客様や同僚あるいは本社の方々が、ひたすら父の身を案じ、入院前に横浜ランドマークタワーのスイートルームを予約してくれたり、旅行を企画してくれたりと、そんな話を聞き、いかに父がお客様を大切にしてきたか、父の仕事の様子が目に浮かびました。
そんな、私の尊敬する父から、「父さん、癌になっちゃったよ。何かあったら頼むな・・」との電話を受けた私は、頭が真っ白になり、既に入院先が決まっているというのに、ただひたすら、無心で、「この人に頼んで駄目だったら、それは手の施しようがなかったということになるから諦めが付くが、そうでない医師には頼みたくない・・」そんな気持ちで、権威と評される、信頼の置ける医師を探し廻っていました。でも、医師へ辿り着く前の各病院の電話口での対応は、完全な人事の、実に冷たいものでした。私が、人生を託す想いで弁護士にご相談にいらっしゃるご依頼人の皆様の不安で切実な想いを、身をもって再認識した瞬間でした。
私が弁護士に人生を託す想いで頼むのであれば、当然ながら、自分のことと全く同等に親身に考えてくれ、かつ、それだけではなく、この人に頼んで駄目だったら誰に頼んでも駄目だから仕方がない、そう思える力量と気概のある弁護士に頼みたいと思います。
私は、まだまだ未熟者ではありますが、そんな弁護士に絶対になりたいと思っています。
私にしかできない、代替の効かない、やりがいを感じずにはいられないお仕事を提供したいと、心から思っています。
いつしかそんな弁護士になれるその日にまで、自己研鑽を積み重ね、昨日より今日、今日よりも明日、何かが着実に進化していると感じ続けていきたいです。
証拠収集と立証活動について
弁護士は、幅広い分野の法律知識を有していますが、医師が外科、内科、消化器科等の各専門分野に細分化しているのと同様、弁護士にも、得意分野・専門分野というものがあります。
もっとも、この「得意分野」「専門分野」というのは、弁護士の場合には、①知識面での平面レベルでの意味と、②その知識を活用しながら、どこにどのような証拠があるのかを検討・収集し、証明していく「立証活動」という奥行部分の意味との、両面が存在していると思っています。
つまり、例えば、どんなに労務問題の知識面に詳しいとしても、残業時間や解雇の不当性などの事実を証明するためにどのような証拠が必要で、どのように証明すればよいのかの判断については、②の経験・力量が大きく関係してきます。
①については、弁護士よりもむしろ社会保険労務士の方が詳しいことが多いかもしれません。①が重要であることはもちろんですが、弁護士だからこそ求められる専門知識は、実は②の部分であろうと私は思っています。裁判の帰趨は、①よりも②の差で決まることが多いというのが、私の率直な感想です。 ①の幅広い平面的な各分野の専門知識で導いた正しい結論を裁判所で証明していく②の作業内容、つまり、どこにどんな証拠が存在するかを検討して収集し、それを裁判所に説得していくノウハウは、概ね、各分野とも共通した内容であると言えます。
私が①の意味で得意分野と言えるのは、本ホームページでご紹介している各分野です。
そして、もう一つの私の得意分野は、②の作業なのです。
私の前職である検事の仕事というのは、99パーセント以上の有罪率を維持するために、徹底的に証拠を集めて確実に「真実」を証明していく作業であり、絶対に負けの許されない仕事でしたので、扱う全ての事件について、有罪にするためにどんな証拠がどこに存在するか、逆に少しでも無罪となり得る可能性のある証拠がどこに潜んでいるか、警察と一緒に悩み、自己研鑽を積んできました。弁護士になった今もなお、どこにどんな証拠が存在し、どうしたらそれを取得できるか、どうやったら裁判官を説得できるか、日々悩みながら自己研鑽を積んでいます。
①と②は、いわば車の両輪のごとく、双方共に弁護士が有しているべき必要不可欠な能力であるため、①についても自分の得意分野を広げなければならないのはもちろんであり、日々勉強を重ねています。但し、現状で自分に足りていない部分については、素直に現状と向き合って、仲良くしている隣接士業やその他専門家との人脈で補ったり、あるいは私よりもその分野の扱いに精通した弁護士をご紹介することで、依頼者の皆様にとって最善のお仕事を提供していきたいと考えています。