被害者支援活動

被害者支援活動について

被害者参加制度がスタートするなど、被害者支援の動きがようやく前進してきました。被害者の皆様の支援、立場は違えど、これが、今の私を育ててくれた警察や検察、そして人の心の痛み・命の大切さを教えてくれた、検事時代に携わった数々の事件の被害者・ご遺族への何よりの恩返しであろうと思っています。

検事側の経験を活かして

警察や検察の仕事・気持ちを熟知しているからこそ、刑事告訴や事件説明、事情聴取への立会などの被害者の皆様と捜査機関との橋渡し作業を適切に行い、裁判への付き添いや、皆様の想いを効果的に裁判官に訴え、量刑に反映させるための被害者質問権の行使等の作業を適切に行うことができると考えています。

被害者参加制度、損害賠償命令制度の利用の各支援はもちろんのこと、被害者として、ご遺族として、何をどうしたらよいのかという不安な気持ちに寄り添い、ご不安を解消させていただきます。

分からないことがあれば、是非、お気軽に、何でもご相談ください。各機関とも連携を取って、被害者の皆様を全力で支援させていただいておりますので、どこに相談して良いのかわからないときは、まず、私にご相談ください。きっと、解決策が見つけられるはずです。

刑事事件だけでなく、当然ながら民事訴訟での被害者支援も行っています。

被害者様「お悩みの声」

    弁護士というと、被告人を守るというイメージが強いのですが、きちんと被害者のことを守ってくれる弁護士がいるのでしょうか?
    弁護士は、色々な立場の方の正義を守るため、色々な立場での弁護士をします。刑事事件だけ、被告人側しか弁護士しないということの方がおかしいと思っています。 実は、刑事弁護の大半は、被害者に対する責任を全うし、そのような視点をもってもらうことで改善更生の指導をするという意味では、被害者のことをきちんと理解してないとできない作業です。 当事務所では、被害者の皆様のお立場をきちんと理解するよう努め、全力で皆様を支援します。もちろん可能です。
    路上でひったくりに遭いました。犯人を追い掛けて住所を突き止めたのに、現行犯でないと証拠不十分で逮捕はできないと言われ、警察が動いてくれません。このまま泣き寝入りするほかないのでしょうか?
    相手を追い掛ける際、コンビニやガソリンスタンドの前を通りませんでしたか?防犯カメラに犯人が映っているかもしれません。数日で録画が消去されてしまうことも多いため、早急に店に電話して録画を保存しておくよう御願いしておきましょう。また、逃げる犯人が土やタイルを踏んで足跡が残っていませんか?

    現行犯でなくても、被害者の供述が真実であることが証明できれば、犯人を逮捕・処罰することが可能なのです。上記の防犯カメラや足跡等の物証で沢山裏付けられれば裏付けられるほど、その供述は「真実」であると認定され、犯人の逮捕・処罰を可能ならしめるのです。

    本来は、これらの裏付捜査こそが警察の仕事・捜査手法であり、これをやって初めて、「証拠がある・ない」「被害者の話は信用できる・できない」との判断が可能になるはずですが、残念ながら忙しい警察が常にその職責を果たしてくれるとは限らないのが現実です。

    そんなとき、忙しい警察に対し、あれこれ文句を言うだけでは駄目です。時には、警察の捜査を先取りして捜査報告書を作成し、処罰に必要な証拠を集めて警察に持っていけば、警察の対応もがらっと変わるものです。警察の多忙さを理解し、フォローして警察に動いてもらう・・甘いかもしれませんが、警察と苦労を共にしてきた私は、現に困っている被害者救済のため、現実を直視して捜査機関と協力し、迅速に解決することが何より大切であると思っています。

    代表の中村は、前職が検事であり、刑事弁護だけではなく、前職の経験を生かし、警察署や検察庁での被害者及びご遺族の取調べの同行、捜査に役立つ証拠の収集整理・提出、裁判への立会及び被害者質問権の代理行使等の、被害者支援活動に力を入れており、現在、札幌弁護士会犯罪被害者支援委員会の委員長を務めております。奥野も、同委員会の委員として被害者のために全力を尽くしています。

    被害内容別の「お悩みの声」

    窃盗被害者相談

      仕事を終えて帰宅したところ、自宅の窓ガラスが割れ、室内が物色されており、空き巣に入られたことが分かりました。財布や自宅のスペアキーなどが盗まれていることが分かり、110番通報したところ、警察による自宅の実況見分が行われました。 ただ、警察に、犯人はちゃんと捕まるのか、捕まったら弁償してもらえるのかと尋ねても、「これから捜査するけれども、今の段階では何とも言えない」と言うばかりで、ちゃんと捕まえてもらえるのか、きちんと弁償してもらえるか不安ですし、スペアキーも盗まれているので、いつまた侵入されるかもしれないと思うと、不安で眠れません。 こんなとき、誰に相談したら良いのでしょうか? 弁護士というと、被告人を守るというイメージが強いのですが、きちんと被害者のことを守ってくれる弁護士がいるのでしょうか?
      盗難被害に遭われたときには、まずは110番通報してください。

      通常は、警察による被害現場の実況見分や、指紋・足跡の採取、遺留物の採取、付近の防犯カメラ映像の確保等の所要の捜査を遂げ、同様の手口による被害状況を調べる手口捜査等によって犯人を絞り込んでいきますが、防犯カメラ映像は数日で消去されてしまうことが多いので、すぐに必要な捜査をしてくれない場合には、弁護士にご相談ください。
      弁護士から、必要な捜査をしてもらえるよう警察にお願いしたり、防犯カメラ設置先に映像の保存をお願いするなどの作業を行います。

      犯人が逮捕された後は、犯人に刑事弁護人が就けば、弁護人を通じて、被害弁償や示談の申入れがあると思いますし、申入れがない場合には、損害の賠償請求をして損害回復していく必要がありますが、弁護士に相談していただければ、これらの対応をあなたに代わって弁護士が行います。もちろん、盗まれた物が残っていれば、返還してもらえます。

      犯人が逮捕されない場合にも、加入している火災保険等の保険金の支払いを受けることができないか等々、損害の回復に向けて、弁護士が諸々のアドバイスを致します。

      なお、スペアキーを盗まれているとのことですから、すぐに鍵業者に依頼して、鍵を交換することをお勧めします。鍵の交換は数千円程度の費用から可能ですが、ピッキング等の盗難に対する防犯性の高いものを選択された方が良いと思います。また、大型家電製品店等の防犯コーナーで、窓割れ防止フィルムや窓を割ろうとした際の振動やセンサーで人の出入りを察知してアラームを鳴らすグッズなど、安価で多種多様な防犯グッズが揃っていますので、またいつ同様の被害に遭わないかご不安でしたら、検討してみてください。
      スーパーで買い物中にすり被害に遭い、バッグと財布を盗まれました。買い物かごにバッグを入れて買い物をしていましたが、特売品に目を奪われて少しその場を離れて商品を手にした隙に、盗まれたようです。 犯人は、その翌日に、財布に入ったキャッシュカードで現金を引き出し、その際の銀行のカメラ映像が手掛かりとなって逮捕されましたが、その後、被害弁償の話もなければ、捜査がどうなったのかの連絡もないので、警察に問い合わせたところ、既に起訴になっており、10日後に刑事裁判が開かれることになっているとのことでした。 これらの情報は、自分から問い合わせないと教えてくれないものなのでしょうか?また、刑事裁判の数日前に、犯人の弁護人から、示談をしたいが、一括での弁償は困難なので、1年間の分割で支払いたいと言われました。弁償はしてほしいと思っていますが、犯人本人から謝罪の一言もないので、刑務所に行ってほしいとも思っており、どのように対応して良いのか悩んでいます。
      駅や空港、電車内、スーパーやデパート、映画館や遊園地など、人が多く集まるところには、すりも沢山集まっており、札幌でも、毎日のようにすり被害が発生していますので、気を付けましょう。

      日頃から、財布はバッグの前方奥底にしまう、チャックを閉める等の防犯意識を持つことが大切で、買い物かごにバッグを入れたままその場を離れるようなことは、もっての他です。 すりは、そういったことが置きやすい場所で、その一瞬の隙をじっと狙っています。

      窃盗で犯人が逮捕された場合、犯人は、2日間ほどの身柄拘束の後、身柄を検察庁に送られて、必要があれば、更に10日から20日間程度身柄を拘束されて、刑事処分が決定することになります。正式裁判となれば、更に少なくとも1か月程度は身柄を拘束されるのが通常です。

      被害者は、通常は、警察において数度の取調べを受けることになりますが、必要がある場合には、警察での取調のほかに検察庁での取調べを受けることもあります。検察庁での取調べを受けた場合には、検察官や事務官から、犯人に対する処分結果や裁判の日時・裁判結果等についての通知の希望の有無を尋ねられ、希望をすれば、文書でこれらの情報の通知を受けることができます。ただ、窃盗被害の場合には、警察での取調べのみで終了し、検察庁での取調べが行われないことが多く、これらの通知がなされないのが通常です。その場合には、自分で検察庁に通知の希望を伝えておくか、弁護士にその作業を頼む必要があります。

      犯人が逮捕されると、犯人に弁償する資力がある場合には、示談の申し入れがなされることが多いです。示談をすれば、犯人の有利な事情となりますので、示談をしなければ刑務所行きになる事件が、示談をしたことにより刑務所行きにならずに済んだり、裁判にすら掛けられないで済むこともあります。
      逆に、示談をしてもしなくても、刑務所行きにならない事件、あるいは裁判にもならない事件もあり、その場合には、示談した方が得策であるという場合もあります。示談した方が良いかどうかは、ケースバイケースで、なかなか難しい判断となることが多いため、迷った時は、弁護士に相談して判断するのが良いと思います。

      分割払いとの約束をして示談をしても、刑事裁判が終わってしまうと、約束が守られず、支払いがなされないことも少なくありません。そのようなことを防止するために、公正証書を作成したり、あるいは、公正証書の作成には費用も時間も掛かりますので、もっと手軽に、刑事裁判の中で、刑事和解という制度を利用して公正証書と同じ効力を持つ書面を作成しての和解をすることもできます。

      なお、キャッシュカードで現金を引き出されてしまったとのことですが、暗証番号が、生年月日等のわかりやすいものとなっていないでしょうか?免許証等、生年月日等の分かるものが財布に一緒に入っていなかったでしょうか?今後の同様の被害を防止するため、暗証番号を変更すると共に、キャッシュカードが盗まれた場合には、直ちに警察と金融機関にその旨届出ましょう。金融機関のカード盗難センター等の連絡先は、お近くの交番や警察署でも教えてもらえます。

      強盗被害者相談

        仕事帰りに夜道を歩いていたところ,背後から二人乗りのスクーターが走行してきて、追い抜きざまに私が持っていたハンドバッグをひったくられました。 私は、ハンドバッグを取られてなるものかと思い、バッグから手を離さなかったことから、私はそのまま10メートルほど引きずられてしまい,最後は力尽きてバッグを奪われ、転倒して路面に打ち付けられてしまい、左腕を骨折する怪我を負いました。 犯人は、その後すぐに逮捕され、強盗致傷の罪で起訴されたのですが、これまでに、何らの謝罪もないし、弁償等の話も一切ない状況です。 非力な女性を狙った犯人を絶対に許せません。 検察官からは、強盗致傷罪の場合には裁判員裁判となり、被害者参加制度を利用して、被告人に質問をしたり、犯人に与える刑の重さについて意見を言うこともできると教えてもらいました。 ただ,事件の内容を詳しく警察や検察官から教えてもらっているわけではなく、どういったことを質問してよいのか分かりませんし、犯人と顔を合わせるのが怖いので,参加することを迷っています。
        お尋ねのような、被害者参加が可能な事案については、裁判が始まる前に犯人の調書等の刑事事件の記録を閲覧することができます。
        その内容を見てから、実際に被害者参加するか否かを決めることもできますし、被害者参加する場合には、被告人の調書等の内容を確認した上で、質問する内容を決めることができます。

        裁判員裁判の場合には、法律の素人である裁判員にも分かりやすい裁判を実現するために、裁判が始まる前に、公判前整理手続という、主張や証拠を整理する手続が何度か行われることになりますが、手続は非公開で、被害者がこれに参加することはできず、もしその内容を知りたい場合には、その都度、検察官に問い合わせる必要があります。

        もっとも、これらの手続をすべて被害者ご自身で行うことはなかなか大変で、ご心労も重なってしまいますので、被害者参加をお考えの場合には、弁護士に相談することをお勧めします。これらの手続きを、弁護士が全て代行します。一定の資力要件(流動資産の総額が150万円以下等の要件が定められています)を満たす場合には、費用負担なく、国選被害者参加弁護士の選任が可能です。

        煩雑な手続は弁護士に任せ、弁護士に相談しながら、被害者参加制度をうまく利用して、警察や検察官が確認していない内容で、あなたが自ら確認して知りたいことを質問したり、調書等に書かれていないあなたのもっと深いお気持ちや、あなたが犯人に対して望む刑罰を自らの口で裁判所へ伝えることが可能です。あるいは、これらの作業も含め、弁護士に代行してもらうことも可能です。

        被害者参加制度を利用して裁判に関与するということ自体、とても心理的負担が大きいことですから、決して、無理をしてまで参加する必要があるというものではありません。

        ただ、被害者の皆様は、絶対にあってはならない、厳しく責任を問われるべき犯罪の被害に遭い、理不尽な負担を強いられたものであり、被害に遭ったことを一刻も早く忘れたいお気持ちは当然のものでありますが、悪いことは悪いと、被害者参加制度等を利用して自らが主体的に刑事裁判に関わることを通じて指摘していく中で、もやもやした気持ちが多少なりとも晴れたり、少しでも心の整理を付けることができて、ようやく前に進めるということもあります。

        被害者支援弁護士は、単に、犯人に対して厳罰を求めたり、金銭請求をするという作業を機械的に代行するものではなく、被害者参加制度等、現在の法律で認められている制度を十分に活用しながら、被害者の皆様の正当な権利行使を支援する過程を通じて、犯罪被害に遭われた皆様が少しでも前に進めるようになる支援を心掛けています。

        なお、被害者参加制度を利用して裁判に参加する場合には,検察官の隣の席に同席することが可能ですが,被害者が被告人と顔を合わせることで心理的な圧迫を受けることのないよう,直接被告人の姿が見えないように衝立を設置する遮へい措置や,法廷とは別の部屋でビデオを通じて裁判に参加するビデオリンクなどの手続も認められていますので,詳しくは、検察官や弁護士にご相談ください。

        また、あなたは、犯罪被害に遭って、バッグ等を奪われただけでなく、骨折という重たい怪我を負っており、犯人に対して、バッグ等の弁償を求めることができるほか、通院治療費等の実費と慰謝料の請求が可能ですし、怪我が原因で仕事を休まれているような場合には、休業損害の請求も可能です。

        起訴されてもなお、犯人がこれらの支払いを申し出てこない場合には、損害賠償命令の申立が可能ですので、弁護士に相談しながら、これらの制度を有効活用してください。

        また、全治1か月以上かつ入院3日以上を要する負傷を負ったり、障害が残った場合には、犯罪被害者等給付金の請求が可能です。

        詐欺被害者相談

          先日、息子を名乗る者から自宅に電話があり、「17歳の女の子と関係を持ってしまって、逮捕されるかもしれない。逮捕されたら、新聞に載って、嫁さんに離婚されてしまう。すぐに女の子と示談したいから、今から言う女の子の口座にすぐに100万円を振り込んでくれ。」と言われ、大変なことになってしまったと思い、すぐに100万円を振り込みました。 その後、連絡が全くないことから、不審に思って息子に電話したところ、電話をしたのは息子ではなく、詐欺被害に遭ったことが分かりました。一体、どうしたら良いのでしょうか。
          まずは、すぐに110番通報して、警察に被害に遭ったことを届け出てください。
          通常の犯罪被害については、弁護士に依頼しなくても、警察に被害に遭ったことを説明すれば、警察の方で被害届を作成して捜査を開始してくれます。

          警察の方で、振込先口座や相手方の電話番号などの情報を元に犯人を割り出していきますので、振込明細や相手方の電話番号等の情報は、決して無くさず、すぐに警察に届けてください。

          電話や手紙、メール、自宅訪問等、その手段を問わず、お金を支払わせようとする話は、およそすべて疑わしいものかもしれないとの前提で用心に用心を重ねることが大切で、自分の判断だけでお金を支払ったり、書類に印鑑を押したりすることは、絶対にしないでください。
          ご質問のような電話があった場合には、「電話を掛け直す」と伝えて電話を一旦まず切り、息子さんから直接教えてもらった電話番号や、家族の電話番号に電話するなどして、本当に息子からの電話だったのかを確認し、少しでも疑わしい事情があれば、お金を支払う前に、必ず、警察か弁護士に相談してください。

          犯人が逮捕された場合には、被害を弁償しなれば、通常は起訴されて裁判にかけられ、刑務所行きとなる可能性が高いことから、犯人の弁護士から、被害を弁償したい、示談をお願いしたいとの連絡が入ることがあります。被害弁償を受けたり、示談をすると、犯人は、裁判にかけられずに釈放されることもありますので、慎重な判断が必要です。

          警察は、民事不介入と言って、被害弁償を受けて良いか、示談をして良いか、どのような条件で示談をしたら良いのか等の質問に対してはアドバイスをしにくい立場にありますので、そのような申し入れがあって判断に迷った場合には、弁護士に相談することをお勧めします。最近は、証拠を残さないように、口座振込みではなく、「仲間に渡してくれ」などと嘘を付いて手渡しで現金を受け取る手口も増えています。領収書をもらえず、振込明細等の証拠が残っていなくても、犯人の逮捕は可能ですので、諦めずに、警察か弁護士に相談してください。

          被害の内容によっては、警察での対応が困難な場合もありますが、弁護士による解決が可能な場合もありますので、その場合も諦めずに、弁護士に相談してください。
          私は、貴金属類の卸売業を営んでいます。先日、知り合いの社長から紹介された男から、「昔は私も貴金属の卸売業を営んでいたんですよ。今は、道内各地の展示販売会で貴金属類を売っており、なかなか盛況なんです。今後、おたくから商品を仕入れたいのですが」と言われ、合計1000万円相当の商品を卸しました。 ところが、支払期日を過ぎても代金が支払われなかったことから、確認のために聞いていた携帯電話場号に電話をしたところ、その番号は既に使われておらず、聞いていた展示販売会場に問い合わせをした結果、販売会など実施されておらず、詐欺被害に遭ったことが分かりました。 そのため、近くの警察署へ行き、相手の男を捕まえてほしいとお願いしましたが、警察からは、相手の男が騙した内容の証拠もないし、商品を相手に渡したことが分かる商品受領証等の証拠がないので、詐欺では立件できない、弁護士に相談して民事でやってもらったらどうか、と言われてしまい、相手の男を捕まえようとしてくれません。どうしたら良いでしょうか。
          お尋ねの事案は、明らかに詐欺罪が成立します。

          警察には、商取引や金銭の貸し借り等の金銭トラブルに関する被害相談が、処理し切れないほどに多数寄せられている現状があります。
          そのため、警察では、本来は民事事件として弁護士に依頼するなどして解決すべきであるものの、回収等の解決が困難であることから警察沙汰にして有利に進めようとする、いわゆる「民事崩れ」の可能性ある相談事案については、刑事事件として捜査を開始することに慎重な姿勢で臨んでおり、なかなか被害を受け付けてくれないという実態があります。

          詐欺罪は、「最初から騙すつもりはなかった。支払うつもりだったけど、支払えなくなった、ただの債務不履行だ。」との弁解が出やすく、無罪になりやすい犯罪であるため、検察庁も、起訴に慎重であり、警察としても、不十分な証拠のまま検察庁に送ることができないため、被害者にとっては、どんな弁解が出されても有罪が揺るがない明確な物証がない限りは、刑事手続に載せるハードルが非常に高い犯罪となっています。

          そのような場合には、いくら警察に強く捜査をお願いしても、受け付けてくれないか、あるいは受け付けてくれたとしても、「被害者の言い分を裏付ける証拠の確保は困難である」との資料を作成して検察庁に送り、結局、証明ができないとして不起訴処分に終わってしまうことになりかねません。
          言い方は悪いかもしれませんが、警察は、刑事事件とする証拠を集めることもできれば、刑事事件としない証拠を集めることもできるわけです。

          このような場合には、弁護士が、相手の男から騙された状況について、あなたや紹介者から聴取して陳述書を作成したり、以前に使われていた携帯電話番号から相手の男の所在を調べて接触し、事後的にでも、騙した言動を認めてもらうなどして、騙された言動の内容を証拠化し、預金通帳、仕入元帳・得意先元帳等の帳簿・伝票類等を整理して報告書化するなどして、商品を渡したことの証拠を作成するなどして、捜査を先取りして調査して警察の負担を少しでも軽減する形で、警察に改めて相談すると、警察の対応ががらっと変わることもあります。

          それでも対応してもらえない場合には、弁護士から警察に強くお願いしていくことになりますが、そういったやりとりで時間ばかりが経過して解決に至らない場合には、民事訴訟に切り替えるなど、柔軟な対応が必要になってきますので、警察に対応してもらえない場合には、お早めに弁護士に相談することをお勧めします。

          傷害被害者相談

            居酒屋で友達と飲食していたところ、酔っぱらった見知らぬ他の客から突然殴る蹴るの暴行を受けました。 知り合いの居酒屋だったので、店に迷惑を掛けたくなかったことから、警察には連絡せず、相手の男の名刺をもらって帰宅したのですが、数日が経過しても脇腹が痛むので病院に行ったところ、亀裂骨折しているいことが判明しました。 相手の男に治療費を払ってもらおうと思って電話をしたところ、「お前が喧嘩売ってきたんだろ?一切払わないぞ。」などと悪態を付かれ、治療費すら支払ってもらえません。 どうしたら良いのでしょうか?  
            早急に病院で診断書を取得し、お近くの交番か警察署へ被害を届け出てください。
            本来は、被害の直後に110番通報して被害を届出て、怪我の部位の写真を撮り、診断書と共に警察へ提出した方が良かったと思われます。相手方としては、刑事処罰(初犯者の場合には、原則、罰金刑を受けることになります)を受けることになってしまいますので、治療費や慰謝料の支払いを申し出て、示談してほしいと誠実に対応してくることも少なくないからです。

            お尋ねのように、不誠実な態度に終始しているのであれば、今からでも警察に届け出て、上記のルートに乗せることを検討しましょう。ただ、被害から日数が経過してしまっていると、目撃者の確保が困難になる等の事情から、警察が被害の届け出を受け付けてくれない場合がありますが、きちんと受け付けてもらって捜査してもらう必要がありますので、そのような場合には、弁護士にご相談ください。

            傷害の罪では、犯人が初犯者の場合には、示談にならない限りは、通常は罰金刑が言い渡されますが、凶器を用いての犯行だったり、後遺症が残る等の重大な被害結果が生じた場合には、通常の刑事裁判を受けることになります。
            犯人に対しては、治療費や通院交通費等の実費のほか、適切な金額の慰 謝料の支払いを求めることができますので、どのような内容の請求をして 良いのか迷った場合にも、弁護士に相談すると良いです。傷害罪による慰 謝料については、ある程度の相場が形成されています。

            傷害の被害に遭い、重傷病(全治1か月以上かつ入院3日以上を要する 負傷又は疾病)、あるいは障害が残った場合には、犯罪被害者等給付金の支 給を受けることができますので、その可能性がある場合には、警察か弁護士にご相談ください。

            また、犯人が起訴されて裁判に掛けられた場合には、傷害罪の被害者は、 被害者参加制度損害賠償命令制度を利用することができますので、その 利用を希望される方は、検察庁か弁護士にご相談ください。

            犯人が起訴されず、罰金刑あるいは不起訴となって、治療費等の支払い を受けることができなかった場合には、相手方に支払い能力がある場合に は、弁護士に依頼して、賠償請求したり、民事訴訟を提起することが可能 ですので、その場合にも弁護士に相談ください。

            殺人被害相談

              親族が殺害されて警察の捜査が始まりましたが、まだ犯人は逮捕されていません。 警察からは、親族まで疑うかのような取り調べがなされるだけで、我々親族に対しても十分な説明がなく、いつ犯人が私たちのところに来て殺されてしまうのではないかと、不安で仕方がありません。 どうしたら良いのでしょうか。
              すぐに、犯罪被害者の支援に精通した弁護士にご相談してください。

              我々犯罪被害者支援弁護士は、ご遺族の皆様に全力で寄り添います。捜査本部が設置される殺人等の重大犯罪では、マスコミが葬儀の場からまず押し掛けてきます。私たちが窓口になってマスコミをブロックし、不当なマスコミ報道がなされたり、誹謗中傷するような情報が流れたような場合には、断固として抗議し、皆様を守ります。

              警察とも折衝して必要な情報を入手し、現状を皆様にかみ砕いてご説明するとともに、警察の捜査に漏れがないか、東京地検本部係で重大事件捜査に携わった経験から、証拠収集の面でも万全のサポートを致します。必要な犯人性の証拠、情状証拠を収集して警察に届け、警察と一体となって、警察の手の届かない部分についての皆様の支援を果たします。

              捜査の進捗を見ながら、事情聴取への付き添いや警察・検察庁での手続説明への同行、被害者参加制度損害賠償命令制度の利用、犯罪被害者給付金制度の利用等の各刑事手続のご説明や支援をさせていただくのはもちろんのこと、同じご遺族の皆様が犯罪被害者の皆様を支援するカウンセリング機関や、犯罪被害者やご遺族のご心情に理解の深い医療機関をご紹介してトラウマやPTSDの解消等のお力にもなります。

              殺人等の重大案件については、警察や検察だけでの対応では、皆様のニーズを満たすことはできません。犯罪被害者の皆様を全力でお守りする被害者支援弁護士がいます。ご信頼いただき、何でもお早めにご相談ください。

              放火被害相談

                元交際相手が、私が住んでいるマンション1階の部屋の玄関先に灯油を撒いて火を付け、現住建造物放火及び殺人未遂の罪で逮捕されました。 私はこの時就寝中で、煙とバチバチという音で目が覚めて、すぐにベランダから逃げましたが、部屋は全焼し、家財も全て消失してしまいました。 今は、一時的に実家で暮らしています。逮捕されてからというものの、何度も警察と検察庁に呼ばれて事情を聴かれていますが、元交際相手の精神状態に問題があって、起訴できないかもしれないと言われています。 大家さんにも迷惑をかけているし、私の家財も弁償してほしいし、引越代も払ってもらいたいのですが、元交際相手とは関わりを持ちたくありませんし、もし罪に問われずに釈放されてしまったらと思うと、不安でなりません。 このような場合、一体誰に相談したら良いのでしょうか?
                現住建造物放火の罪で度々問題になるのが、犯人の責任能力です。
                つまり、精神疾患を抱えている等の事情から、善悪の判断が付かなかったり、行動を制御する能力がなかったりすると、責任能力がないとして、刑事処罰できないことになるので、捜査機関では、責任能力の有無を慎重に判断することになります。

                責任能力がないと判断された場合には、心神喪失者等医療観察法という法律に基づく審判を経て、専門医療機関での入通院が命じられることになります。

                責任能力があると判断され、現住建造物放火の罪で起訴された場合には、最低でも5年以上の懲役刑が言い渡されるのが通常で、長期間、刑務所に行くことになります。

                なお、現住建造物放火の罪で裁判となる場合には、裁判員裁判となります。
                お尋ねの事案では、あなたの生命に危険が及んだとして殺人未遂の罪にも問われているとのことですが、もし、現住建造物放火の罪だけではなく、殺人未遂の罪でも合わせて裁判に掛けられた場合には、被害者参加制度の利用が可能となります。

                室内の修繕費用については大家さんから、家財等を焼失したことによる損害はあなたから、それぞれ犯人に対して賠償の請求が可能です。
                家財保険に加入していれば、損害の一部が保険で填補されますが、保険で賄われない損害については、犯人に請求していくことになります。
                消失した財産の損害の請求だけではなく、放火されるなどという大変な恐怖を味わったことによる慰謝料と引越し費用の請求をすることも可能です。

                逮捕された場合には、犯人に支払能力があれば、犯人に就いた弁護士から、これらの費用を支払って示談をしたいとの申し入れがあるかもしれません。
                これらの費用の支払いを受けたり、示談をした場合には、刑事処分の結果に大きな営業が出ることがありますので、そのような申し入れがあったり、あるいは、そのような申し入れがなく、犯人にこちらから請求したい等の場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。

                現住建造物放火罪だけで裁判に掛けられた場合には、損害賠償命令制度の利用ができないため、犯人から支払いがなされない場合には、民事訴訟を提起して損害賠償請求することを検討することになりますが、殺人未遂罪も合わせて裁判に掛けられている場合には、損害賠償命令制度の利用が可能です。

                放火の罪は、大変重大な犯罪であり、被った精神的被害の回復、財産的被害の回復のほか、再被害の防止も考えなければならないなど、被害者の負担が大変大きいものとなります。
                精神的ダメージが強く、コントロールが難しいなどの場合には、カウンセラーや医師などの助言を受けることも大切です(北海道カウンセリングセンター)

                また、犯罪被害により、従前の住居に居住することができなくなった場合には、公営住宅への入居についても特別の配慮をしてもらえることになっています (犯罪被害者の公営住宅への入居について)し、自治体によっては、犯罪被害によって余儀なくされた転居の費用や家賃の一部等を補助してもらえることもあります。 被害者支援弁護士は、これらのトータル的なサポートをしていますので、是非弁護士にご相談ください。

                器物損壊被害相談

                  自宅マンションの駐輪場に停めていた自転車に乗ろうとしたところ、タイヤがパンクしておりました。 不審に思いながらも、自転車屋で修理してもらったのですが、他の住人数名も同様に、自転車のパンクの被害に遭っていたことが判明しました。 我が家には、小さな子供もいるので、不審者がマンションをうろついているかもしれないと思うと、不安でたまりません。 修理費用は800円程度なのですが、このような小さな案件で弁護士に頼むこともできませんし、どうしようかと悩んでおります。
                  すぐに警察に被害を届け出ることをお勧めします。 また、マンションには防犯カメラが設置されていることも多いので、管理人に防犯カメラの設置の有無を尋ねて、もし設置されている場合には、その映像を消去することなく保存しておいてもらえるよう依頼してください。 被害額が軽微であっても、連続して発生し、住民に恐怖を与えている悪質事案ですから、器物損壊罪として捜査してくれる可能性が高いです。 器物損壊罪で捜査してもらうためには、被害を届け出るだけでなく、告訴が必要ですが、通常の事件であれば、弁護士に依頼しなくても、直接、お近くの交番や警察署に行って相談すれば、告訴状は警察の方で作ってもらえます。 もし犯人が特定された場合には、初犯者であれば、通常は罰金刑が見込まれます。犯人としては、罰金刑となるのを避けるため、被害額を弁償して示談したいと望むのが通常で、そのような申し入れがあるかもしれません。 対応に迷った場合には、相談だけでもまったく問題ありませんので、弁護士の利用をお勧めします。

                  性犯罪被害者相談

                    強姦の被害に遭いました。 警察に届けるかどうか、迷っています。何をどうして良いのか分かりません。考えるだけで、胸が締め付けられ、吐き気を催します。
                    男性からそのようなひどい行為をされ、男性の警察官や弁護士に相談すること自体も大変な苦痛だと思います。 当事務所には、被害者支援に精通した女性弁護士がおりますので、是非一度、ご相談ください。きっと、あなたの力になれるはずです。 あなたの心と体のケアについて、様々な方法があります。もしご希望があれば、カウンセラーの同席も無料で実現できる場合があります。
                    強制わいせつの被害に遭いました。警察への告訴の手続をお願いすることはできますか?
                    もちろんできます。 警察への被害届や告訴はもちろん、警察に届け出ない場合にも、相手方と賠償について交渉したり、民事訴訟を提起するなどして相手に責任を追及することが可能です。
                    中学生の娘が強制わいせつの被害に遭いました。 犯人を逮捕して処罰して欲しいのですが、娘の名前や住所を警察に知らせたくありません。 何か良い方法はありますか。
                    あります。 現在、警察と検察庁では、被害者の氏名や住所を秘匿したまま裁判を行う取り組みを初めています。 裁判所の理解がなかなか追いついていないところはありますが、最後まで秘匿して裁判が行われているケースもでてきておりますので、詳しくは弁護士にお尋ねください。
                    強姦の被害に遭い、逮捕された被疑者の弁護士から示談の申し入れがありました。 100万円という金額を提示されており、これを受け取る代わりに告訴を取り下げてほしいと言われているのですが、処罰されないのは納得がいきません。 どのように対応したら良いのでしょうか?
                    現在の相場からして、強姦の被害の慰謝料として100万円というのは、低廉に過ぎます。 300万円以上は当然に取得できるはずの犯罪被害です。 この慰謝料は、当然に請求できるものであり、請求したからと言って告訴を取り下げなければならないものでは決してありません。 告訴は取り下げないけれども、慰謝料を請求して回収する方法もあります。 損害賠償命令や民事訴訟を起こすという方法もありますし、ただ、相手方に資力がない場合には、刑事事件の係属中に相手方とうまく交渉して、その時点で支払うことができる最大限の支払いを引き出して、かつ、適切な処罰を求めていく方法もあります。 このような交渉は、刑事事件の見込みを正しく理解している弁護士に適切なアドバイスを受けながら進める必要があります。
                    強姦被害を受けて、犯人が逮捕されましたが、犯行を否認していて、このまま裁判に掛けた場合には、私が証人として裁判所に呼ばれてしまうかもしれないとの説明を受けています。 裁判所で人前に立つことは避けたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?
                    現在否認していても、起訴された後に自白に転じるケースは多く、実際にあなたの証人尋問が行われる可能性は、決して高いものではありません。 もし証人尋問が行われる場合にも、被告人や傍聴席との間に衝立を立てて顔・姿を見られないようにしたり、別室でビデオリンク方式で質問を行うことで済ませることが可能であり、様々な方法が用意されていますので、お早めに弁護士にご相談ください。 そのようなことまで余儀なくされて、相手に対するお怒りの気持ちが高まり、是非とも裁判官にそのことを知ってほしいという場合には、お手紙を書いて裁判所に意見陳述という形でそれを伝える方法もあります。 みなさんのご意見を直接裁判官に伝えることは、大きな影響力があることですので、何をどこまでしたら良いのかという点についても、是非弁護士にご相談いただき、少しでも納得のいく結論が得られるようにしていただきたいと思います。
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