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シティ総合法律事務所のお悩み別FAQ

ご相談内容

仕事帰りに夜道を歩いていたところ,背後から二人乗りのスクーターが走行してきて、追い抜きざまに私が持っていたハンドバッグをひったくられました。 私は、ハンドバッグを取られてなるものかと思い、バッグから手を離さなかったことから、私はそのまま10メートルほど引きずられてしまい,最後は力尽きてバッグを奪われ、転倒して路面に打ち付けられてしまい、左腕を骨折する怪我を負いました。 犯人は、その後すぐに逮捕され、強盗致傷の罪で起訴されたのですが、これまでに、何らの謝罪もないし、弁償等の話も一切ない状況です。 非力な女性を狙った犯人を絶対に許せません。 検察官からは、強盗致傷罪の場合には裁判員裁判となり、被害者参加制度を利用して、被告人に質問をしたり、犯人に与える刑の重さについて意見を言うこともできると教えてもらいました。 ただ,事件の内容を詳しく警察や検察官から教えてもらっているわけではなく、どういったことを質問してよいのか分かりませんし、犯人と顔を合わせるのが怖いので,参加することを迷っています。


弁護士からの回答

お尋ねのような、被害者参加が可能な事案については、裁判が始まる前に犯人の調書等の刑事事件の記録を閲覧することができます。 その内容を見てから、実際に被害者参加するか否かを決めることもできますし、被害者参加する場合には、被告人の調書等の内容を確認した上で、質問する内容を決めることができます。 裁判員裁判の場合には、法律の素人である裁判員にも分かりやすい裁判を実現するために、裁判が始まる前に、公判前整理手続という、主張や証拠を整理する手続が何度か行われることになりますが、手続は非公開で、被害者がこれに参加することはできず、もしその内容を知りたい場合には、その都度、検察官に問い合わせる必要があります。 もっとも、これらの手続をすべて被害者ご自身で行うことはなかなか大変で、ご心労も重なってしまいますので、被害者参加をお考えの場合には、弁護士に相談することをお勧めします。これらの手続きを、弁護士が全て代行します。一定の資力要件(流動資産の総額が150万円以下等の要件が定められています)を満たす場合には、費用負担なく、国選被害者参加弁護士の選任が可能です。 煩雑な手続は弁護士に任せ、弁護士に相談しながら、被害者参加制度をうまく利用して、警察や検察官が確認していない内容で、あなたが自ら確認して知りたいことを質問したり、調書等に書かれていないあなたのもっと深いお気持ちや、あなたが犯人に対して望む刑罰を自らの口で裁判所へ伝えることが可能です。あるいは、これらの作業も含め、弁護士に代行してもらうことも可能です。 被害者参加制度を利用して裁判に関与するということ自体、とても心理的負担が大きいことですから、決して、無理をしてまで参加する必要があるというものではありません。 ただ、被害者の皆様は、絶対にあってはならない、厳しく責任を問われるべき犯罪の被害に遭い、理不尽な負担を強いられたものであり、被害に遭ったことを一刻も早く忘れたいお気持ちは当然のものでありますが、悪いことは悪いと、被害者参加制度等を利用して自らが主体的に刑事裁判に関わることを通じて指摘していく中で、もやもやした気持ちが多少なりとも晴れたり、少しでも心の整理を付けることができて、ようやく前に進めるということもあります。 被害者支援弁護士は、単に、犯人に対して厳罰を求めたり、金銭請求をするという作業を機械的に代行するものではなく、被害者参加制度等、現在の法律で認められている制度を十分に活用しながら、被害者の皆様の正当な権利行使を支援する過程を通じて、犯罪被害に遭われた皆様が少しでも前に進めるようになる支援を心掛けています。 なお、被害者参加制度を利用して裁判に参加する場合には,検察官の隣の席に同席することが可能ですが,被害者が被告人と顔を合わせることで心理的な圧迫を受けることのないよう,直接被告人の姿が見えないように衝立を設置する遮へい措置や,法廷とは別の部屋でビデオを通じて裁判に参加するビデオリンクなどの手続も認められていますので,詳しくは、検察官や弁護士にご相談ください。 また、あなたは、犯罪被害に遭って、バッグ等を奪われただけでなく、骨折という重たい怪我を負っており、犯人に対して、バッグ等の弁償を求めることができるほか、通院治療費等の実費と慰謝料の請求が可能ですし、怪我が原因で仕事を休まれているような場合には、休業損害の請求も可能です。 起訴されてもなお、犯人がこれらの支払いを申し出てこない場合には、損害賠償命令の申立が可能ですので、弁護士に相談しながら、これらの制度を有効活用してください。 また、全治1か月以上かつ入院3日以上を要する負傷を負ったり、障害が残った場合には、犯罪被害者等給付金の請求が可能です。